この記事では、マッコウクジラの名前の由来について紹介。日本名称と英語名称、それぞれの由来に触れています。
「マッコウクジラ」名前の由来
マッコウクジラの和名「抹香鯨」は、古くから香料としても、医薬品や媚薬としても珍重されてきた「龍涎香」という特別な物質に関係しています。この龍涎香は、海岸に打ち上げられたり海で漂っているものを偶然見つけることでしか手に入れられなかったものです。
でも、実はこの龍涎香、マッコウクジラの腸内でとてもまれにできる結石で、自然に排泄されることもありました。捕鯨が盛んになった時代には、狩られたマッコウクジラから直接この結石を採取することができるようになったんです。
歴史上の話でいうと、マルコ・ポーロの『東方見聞録』にも、マダガスカル島沖でマッコウクジラが捕獲され、龍涎香が得られたという記録があります。
このマッコウクジラの体内から採取される龍涎香は、抹香に似た香りを持っていたため、中国語の名称「抹香鯨」に倣い、「抹香のような香りを持つ鯨」という意味で日本では呼ばれるようになり、やがて和名として定着したんです。
さらに、マッコウクジラの名前の由来には他にも面白い説があります。
たとえば、マッコウクジラのお腹にある模様の色が、抹香の色に似ているからという説があります。
また、「真っ向」という言葉から来ているという説もあります。「真っ向」とは、もともと「額の真ん中」を意味する言葉で、マッコウクジラの特徴である巨大な頭部に由来していると考えられています。
ただし、これらの説は一般的なものではなく、あくまで一つの見解として知っておくと面白いかもしれません。
英語名の語源
マッコウクジラの英語名は「sperm whale」といいます。
実は「sperm whale」という名前は、「精液のような液体を持つ鯨」という意味があるんです。これは、マッコウクジラから採取される特別な液体、つまり鯨蝋(けいろう)を指しています。鯨蝋は、マッコウクジラの頭部にある油脂から作られるもので、昔はランプの油や潤滑油として使われていたんですよ。
また、マッコウクジラには「Cachalot(キャシャロット)」という別名もあります。この名前はフランス語に由来しており、アメリカ海軍の艦名にも使われていることで知られています。
このように、マッコウクジラの英語名には、鯨から採れる特別な物質に関連した興味深い由来があるんです。