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「づらす」と「ずらす」はどっちが正しい?違いと使い方を例文で解説

物の位置や予定の時間を少し動かすときには、「椅子をずらす」「日程をずらす」のように表現します。しかし、文字にするときに「ずらす」と「づらす」のどちらを選べばよいのか迷うことがあります。

「近づく」や「手作り」には「づ」が使われるため、「づらす」も正しいように見えるかもしれません。名前が似ていると、どちらを使えばよいのか迷いますよね。

「ずらす」と「づらす」の違いを比較しながら、正しい表記、言葉の意味、「ず」と「づ」の見分け方を紹介します。日程調整やビジネスメールで使える言い換えも見ていきましょう。

目次

「づらす」と「ずらす」はどっちが正しい?比較表で確認

現代の一般的な文章では、「ずらす」と書くのが正しい表記です。

まずは、2つの違いを確認しておきましょう。

  • 正式な表記として使えるのはどちらか
  • 「ずらす」にはどのような意味があるか
  • 「づらす」が正しいように見える理由
  • ビジネス文書ではどう書けばよいか

正しい表記は「ずらす」

結論からいうと、現代の一般的な文章では「ずらす」が正しい表記です。

文化庁の「現代仮名遣い」では、現代語の音韻に従って仮名を書くことが原則とされています。「ぢ」「づ」は、同じ音が続く場合や、二つの語が結び付いて音が濁る場合など、限られた条件で使用します。

「ずらす」は、こうした「づ」を使用する条件には当てはまりません。そのため、次のように「ず」を使います。

  • 椅子をずらす
  • 時間をずらす
  • 日程をずらす
  • 論点をずらす
  • 少し横にずらす

「づらす」は、現代の通常の文章では使わない表記です。

「ずらす」と「づらす」の比較表

比較項目ずらすづらす
現代の標準的な表記正しい通常は使わない
辞書の見出し掲載されている一般的な見出し語ではない
主な意味位置や時間などを少し移動させる現代では「ずらす」の誤記として現れることが多い
使用例日程をずらす、椅子をずらす通常の文章では使用しない
ビジネス文書使用できる避ける
古い文章・引用「ずらす」が基本古い用例に見られる場合がある

どちらにするか迷った場合は、「ずらす」を選べば問題ありません。

ただし、古い文献の原文をそのまま引用するときは、「づらす」と書かれている場合があります。引用文では、現在の表記へ勝手に直さず、原文の表記を残すことがあります。

「ずらす」の意味

国立国語研究所のIPAL動詞辞書では、「ずらす」の表記を平仮名の「ずらす」とし、物を滑らせるようにして少し位置を変える動詞として掲載しています。

デジタル大辞泉では、主に次の意味が紹介されています。

  1. 物の位置を少し動かす
  2. 位置や日時が重ならないように動かす
  3. するべきことを後に回す
  4. 意味や範囲を別の方向へ動かす

日常生活では、物理的な位置だけでなく、時間や予定、話の内容などにも使われます。

対象意味例文
物の位置少し移動させる椅子を右へずらしてください
時間開始時刻などを変更する会議を30分ずらします
日程別の日へ変更する出発日を1日ずらしました
順番重ならないように変える休憩時間をずらして取ります
話・論点本来の方向から外す質問の論点をずらさないでください

「ずらす」と「ずれる」の違い

「ずらす」と「ずれる」は、どちらも位置や時間が変わることを表しますが、動かす人がいるかどうかに違いがあります。

言葉種類意味例文
ずらす他動詞誰かが意図的に動かす私が机を右へずらす
ずれる自動詞位置や時間が元の場所から動く机の位置が右へずれる

国立国語研究所のIPAL動詞辞書でも、「ずらす」は他動詞、「ずれる」は自動詞として掲載され、互いに対応する言葉として示されています。

「何かを動かす」ときは「ずらす」、「何かが動く」ときは「ずれる」と覚えると使い分けやすくなります。

  • 予定をずらす
  • 予定がずれる
  • マスクをずらす
  • マスクがずれる
  • 位置をずらす
  • 位置がずれる

「づらす」が正しいように見える理由

「ずらす」と「づらす」で迷いやすい理由の一つは、現在の日本語では「ず」と「づ」の発音がほぼ同じだからです。

さらに、「近づく」「手作り」「三日月」など、「づ」を使う身近な言葉もあります。そのため、音だけで判断すると「づらす」と書きたくなることがあります。

しかし、「近づく」は「近い」と「付く」、「手作り」は「手」と「作り」のように、二つの語が結び付いて後ろの音が濁った言葉です。

「ずらす」は二つの語を組み合わせた言葉として扱われないため、「づ」にはなりません。

「ず」と「づ」はどう使い分ける?

「ず」と「づ」は、すべての言葉を一つずつ暗記しなくても、基本的なルールを知ると見分けやすくなります。

原則として「ず」を使う

現代仮名遣いでは、「ず」と発音する言葉は、原則として「ず」で書きます。

例として、次のような言葉があります。

  • ずらす
  • ずれる
  • ずっと
  • ずるい
  • うなずく
  • つまずく
  • おとずれる

「ず」と「づ」で迷い、特別な理由が見当たらない場合は、「ず」を使うのが基本です。

同じ音が続く言葉は「づ」を使うことがある

同じ音が繰り返され、後ろの音が濁った言葉には「づ」を使います。

  • つづく
  • つづける
  • つづみ
  • ちぢむ
  • ちぢれる

「つつく」が濁って「つづく」になったと考えると、「づ」が使われる理由をつかみやすくなります。

二つの語が結び付いた言葉は「づ」を使うことがある

二つの語が結び付き、後ろの語の最初の音が濁る場合にも「づ」を使うことがあります。

言葉組み合わせ
三日月三日+月
手作り手+作り
箱詰め箱+詰め
道連れ道+連れ
小包小+包み
近づく近い+付く

一方、「ずらす」は「○○+つらす」のような組み合わせではありません。「づ」を使う条件に当てはまらないため、「ずらす」と書きます。

「ずらす」の使い方を例文で確認

「ずらす」は、物の位置、予定、順番、話の内容など、幅広い場面で使えます。

物の位置をずらす場合

物を少し横や前後へ移動させるときに使います。

  • テーブルを壁から少しずらしてください。
  • ポスターの位置を右へずらしました。
  • 荷物を横にずらして通路を空けます。
  • 座る場所を少しずらしてもらえますか。
  • 画像を中央から少し左へずらします。

大きく移動させるというより、元の場所から少し動かす場面に合う表現です。

時間や日程をずらす場合

開始時刻や予定日を変更するときにも使います。

  • 会議の開始時間を30分ずらします。
  • 混雑を避けるため、昼休みの時間をずらしました。
  • 雨の予報が出ているため、開催日を翌週へずらします。
  • 出発時間を少しずらしてもよいでしょうか。
  • 予約を1日ずらしたいのですが、空きはありますか。

ただし、「時間をずらす」だけでは、早めるのか遅らせるのかが分からない場合があります。

相手へ正確に伝える必要があるときは、「30分早める」「1時間遅らせる」「翌週へ変更する」のように、移動する方向も書くと誤解を防げます。

話や論点をずらす場合

話題や考え方を本来の方向から少し外す意味でも使われます。

  • 質問の論点をずらさずに答えてください。
  • 話をずらして責任を避けようとしている。
  • 少し視点をずらすと、別の解決策が見えてきます。
  • 意味をずらして解釈すると、文章の印象が変わります。
  • 問題の焦点をずらさないことが重要です。

「論点をずらす」には、意図的に話題をそらすという否定的な意味が含まれる場合があります。一方、「視点をずらす」は、別の角度から考えるという前向きな意味でも使えます。

「ずらす」はビジネスで使える?目的別の言い換え

「ずらす」は、会話やメール、社内文書でも使用できます。ただし、変更内容を正確に伝えたい場合は、別の言葉に置き換えた方が分かりやすいことがあります。

日程を変更するときの言い換え

元の表現言い換え
会議をずらす会議の日程を変更する
開始時間をずらす開始時間を変更する
30分後ろへずらす開始を30分遅らせる
1日前へずらす開催日を1日前倒しする
来週へずらす来週へ延期する
順番をずらす実施する順番を変更する

「延期」は後の日程へ移す場合に使います。前の日程へ移す場合は、「前倒しする」「早める」が適しています。

ビジネスメールの例文

予定を遅らせる場合

大変恐れ入りますが、打ち合わせの開始時刻を14時から15時へ変更していただくことは可能でしょうか。

予定を早める場合

当初の予定より1日早め、6月24日に実施したく存じます。

別の日へ変更する場合

都合により、会議の日程を6月25日から6月27日へ変更させていただきます。

「日程をずらしてください」だけでも意味は伝わりますが、変更前と変更後の日時を示すと、やり取りの行き違いを減らせます。

位置を動かすときの言い換え

物の位置については、次のような言い換えがあります。

  • 移動する
  • 動かす
  • 配置を変える
  • 位置を調整する
  • 横へ寄せる
  • 間隔を空ける

たとえば、「画像を少しずらしてください」は、「画像の位置を右へ5ミリ調整してください」と書くと、具体的な指示になります。

「づらす」と「ずらす」に関するよくある疑問

「日程をづらす」は間違い?

現代の一般的な文章では、「日程をづらす」ではなく「日程をずらす」と書きます。

  • 誤:打ち合わせの日程をづらす
  • 正:打ち合わせの日程をずらす

ビジネスメールでは、「日程を変更する」「開催を延期する」と言い換えることもできます。

「位置をづらす」と「位置をずらす」はどっち?

正しいのは「位置をずらす」です。

  • 誤:画像の位置をづらす
  • 正:画像の位置をずらす

「位置が動いてしまった」と表したい場合は、「位置がずれる」を使います。

「づらす」が変換候補に出たら使ってもよい?

入力ソフトの変換候補に表示されても、現在の標準的な表記とは限りません。人名や方言、古い表記、過去の入力履歴などが候補へ反映されることもあります。

通常の文章では「ずらす」を選びます。

「ずらす」に漢字はある?

「ずらす」は、一般的に平仮名で書きます。

国立国語研究所のIPAL動詞辞書でも「漢字表記なし」とされています。

文脈によっては「移動する」「変更する」「延期する」などの漢字を含む言葉へ置き換えられますが、「ずらす」そのものに一般的な漢字表記があるわけではありません。

古い文章の「づらす」は誤字?

古い文献には、「づらす」と書かれた用例が残っています。精選版日本国語大辞典にも、江戸時代の資料に見られる「づらす」の例が収録されています。

そのため、古い資料や文学作品の引用に出てくる「づらす」を、単純な入力ミスとは判断できません。

ただし、現在の文章を自分で書く場合は「ずらす」を使います。

「づらす」と「ずらす」の違いに関するまとめ

  • 現代の一般的な文章では「ずらす」が正しい
  • 「づらす」は通常の文章では使用しない
  • 「ずらす」は、物の位置を少し動かす意味で使われる
  • 時間や日程を別の位置へ移す意味でも使える
  • 「ずらす」は他動詞で、「ずれる」は自動詞
  • 「予定をずらす」に対して「予定がずれる」と使い分ける
  • 「づ」は、同じ音が続く言葉や二語が結び付いた言葉で使われる
  • 「ずらす」は「づ」を使う条件に当てはまらない
  • 「ずらす」に一般的な漢字表記はなく、平仮名で書く
  • 日時を変更するときは、早めるのか遅らせるのかも書くと伝わりやすい
  • 古い文献や引用文では「づらす」が残っている場合がある
  • 現代の文章でどちらか迷った場合は「ずらす」を選ぶ

日常会話、メール、ビジネス文書のいずれでも、基本は「ずらす」です。予定を変更するときは、変更後の日時や移動する方向まで具体的に書くと、意図がより正確に伝わります。

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