「お払い箱になる」「お払い箱にされる」の「お払い箱」という言葉は、使わなくなった物を捨てることや、仕事を辞めさせることを意味しています。
この「お払い箱」の語源・由来にはいくつかの説があります。
目次
伊勢神宮の「御祓箱」をもじった説
「お払い箱」という言葉の語源には、伊勢神宮の伝統が由来しています。
この言葉は、もともと「御祓箱」と呼ばれていました。伊勢神宮で行われる御祓いの儀式で、御祓いの札や祈祷に使う特別なものを入れる箱が「御祓箱」です。
この箱には神聖な札が入っていました。昔は伊勢神宮に行くのが大変だったので、御祓いの札は伊勢神宮の御師(おし)が信者の家まで届けていました。
毎年、新しい札に取り替えられるため、古い札を入れていた箱は不要になります。この古い箱のことを「御払箱」と呼ぶようになり、それが時間を経て「お払い箱」という言葉に変わったんです。
「お払い箱」という言葉は、もともとは物を捨てることを意味していましたが、後には仕事から人を離す、つまり解雇する意味でも使われるようになりました。
サンスクリット語が語源?
これらの説のほかに、サンスクリット語の「parajika」(波羅夷)という言葉が変わったという話も。
サンスクリット語は、インド亜大陸の古典言語で、ヒンドゥー教や仏教の聖典の言語としても知られています。
そして、波羅夷(はらい)とは、仏教でとても重い罰のことを指していて、仏教の集まりから追い出すことを意味していました。この言葉が日本語に入って、少し変わって「お払い」という言葉になったという説もあります。